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三宅百佳が語る現在地×未来予想図

2018年LPGAプロテスト1次予選を受験した人数は400人超。そのうち最終プロテストまで進めるのは約100名で、晴れて会員資格を得ることができるのは20名程度。毎年変動するが合格率はおおよそ5%ほどで、“アマチュア時代から将来を嘱望され、プロテスト一発合格の鳴り物入りでツアーデビュー”といったケースはあくまで一部の選手の話。多くの選手が狭き門を突破するために幾度も“浪人”を繰り返す。三宅百佳(みやけ・ももか)は、高校卒業後、5度目のプロテストで見事合格。2017年度は、勝みなみ、新垣比菜ら黄金世代の初受験年で、合格者22名のうち、一発合格者は過去最高の11名。浪人組にとって厳しい状況下のなか、執念で合格ラインに滑り込んだことで、三宅のプロゴルファーとしての道は一気に開けた。

地元・香川開催のステップ・アップ・ツアー『日台交流うどん県レディース』に出場し、故郷へ錦を飾ると、愛媛開催の『大王製紙エリエールレディス』ではレギュラーツアーデビューを果たす。また同年は、一度も到達したことがなかったファイナルQTに進出し、2018年のステップフル参戦権を獲得。レギュラー2試合、ステップ17試合を戦うなど、トーナメントプレーヤーとしての生活が始まった。

24歳となって迎える2019年シーズンはQTランク97位の資格で、ステップを主戦場に飛躍を目指しているが、これまで彼女が歩んできた足跡と将来目指す姿について話を聞いた。

ゴルフを始めたキッカケは?学生時代はどんな心持ちで練習していましたか?

父の影響で、姉が先にやっていて…誘われる形で私も始めましたが、周りから“お姉ちゃんよりセンスあるやん!”とおだてられて(笑)。そこで興味を持ちはじめて、香川県で開催された『大王製紙エリエールレディス』を観戦しにいったり。それが10歳くらいの時期ですね。

小さい頃は、やる気があったのは覚えています。でも、そのあとは練習経験を積み、試合にも出場していましたが、実はあまりゴルフが好きではなかった。プロを目指す気もなかったんです。

高校は県内の強豪・香川西高校に進学。その頃にはプロを意識していた?

高校2年生の頃までは辞めたくてしょうがなかった。父と喧嘩もしました。寮生活で、普通の部活より、練習時間が長く、練習量も多いので“早く寮に帰りたいな~”っていつも思っていた。でも3年生のときに出場した『四国ジュニア』で2位になったときに、やる気スイッチが入りました。高校最後の年に…遅すぎますよね(笑)。

高校卒業後、プロテストに挑戦するも4度の失敗。どうやってモチベーションを保っていましたか?

高室池ゴルフ倶楽部で約1年間研修生をしていましたが、20歳前くらいに「普通の仕事を選んでもいいかなぁ」って思う時期があって、辞めようか考えたこともありました。振り返ると、漠然と練習していたからだと思います。プロテストは受け続けていましたが、4度のうち最終テストにいけたのは一度だけ。そのときもまったく合格ラインに引っかからない位置でした。

2度目のスイッチが入ったのは、4度目のテストに落ちたあと、岩本優プロにお世話になり始めてから。高室池ゴルフ倶楽部の研修生からプロになった方で、2016年の夏から指導を受けています。“女子は、男子よりも(ツアー環境が)恵まれているから頑張れよ”と励ましてもらいましたし、さまざまな練習のアイデアをいただけるので助かっています。

5度目のテストを受ける前に、成長している実感はありましたか?

スイングがだいぶ変わってきて、力がついてきている感覚はありました。それまでは、弱々しい吹け球でしたが、強い球質の中弾道を打てるようになってきて、ドライバーは230~240ヤード飛ばせるように。15ヤードくらい伸びたと思います。

5度目のテスト前は、コーチからも“一次で落ちているようではプロになれないから!”と、厳しく発破をかけられていました。一次は4位タイでしたが、二次は初日に太叩きしちゃって…本当にギリギリの1ポイント差で最終テストに進むことができました。

黄金世代の初受験が重なっていて、その年の最終テストは“厳しい年”と言われていましたが…。

実際に、周りから“黄金世代の注目されている子たちが出るから、ほぼほぼ合格枠は埋まっているよね”と言われましたけど、私自身は“そうなんやぁ”くらいの気持ちで、全然意識してなかったんです(笑)。でもやっぱり最終テストはハードでしたね。特に最終日は緊張感がヤバかった。

4アンダー・10位タイの合格圏内からスタートしましたが、前半にぶっ叩いて焦りまくり。私は4つスコアを落としてイーブンパーでしたが、ハーフターンのときに、選手が前半のスコアを記入するバインダーを見ると、アンダーばかり。あのときは、本当に吐き気がするくらいの緊張がありました。

でも、ここまで来たら後半9ホールはやるしかない、と奮起できましたし、一緒に回っていた吉川桃ちゃんと西畑萌香ちゃんも“絶対大丈夫ですよ!”とすごく励ましてくれました。そこからはピンだけを見て、攻めていって…なかなか決められなかったですが、15番のパー5を獲って、17番のパー3では奇跡的なロングパットが決まってくれた。2アンダーでスコアカードを提出したときは“まだわからないから…”と言われて、おろおろしていましたが、合格が決まったときは号泣。自分でもビックリしてよくわからなかったです。

その年は、8月のステップ・アップ・ツアーでプロデビューして、QTでは初めてファイナルステージに進出。それまではセカンドQTを突破したのは一度しかなかったのに…正直、2017年は怒涛の一年でした。“滑り込み女”っていじられることもありますが、もしこの年の最終プロテストで落ちていたら、本当にゴルフを辞めていたでしょうね。

念願のプロゴルファーとしてのツアー転戦、一年間戦ってみた感想は?

2018年は、4月に開催されたステップ3戦目の『パナソニックオープンレディース』で5位に入ることができたのですが、2週間後の5月初旬に、渋滞中に後ろから追突されるアクシデントがあって…首の痛みでスイングにも影響があったので、2~3週間くらい休まないといけない時期がありました。

6月から復帰しましたが、ツアー転戦で感じたことは、やっぱり自己調整能力がないと結果が出せない。直接コーチに見てもらうことができないなかで、調子が悪くてもスコアをまとめていかないと賞金は稼げません。シーズン後半は、試合に出るたびに自信をなくしていきましたね。周りは上手くて、自分は下手だなって。でもプロテストを受かったときよりも良くなっている実感があります。まだまだちょっとずつですけど、成長しなければいけませんね。

今年から「Team DELiGHTWORKS」の一員となり、ツアーで戦っている男子プロの方々と練習する機会は初めてだったので、新しい刺激をもらいました。チームの看板を背負って試合に出ている以上、今季こそ結果を出さないといけない思いは強いですね。

自身の性格や、女子プロゴルファーとして気をつけていることを教えてください。

プロテスト合格同期からは、最初に“話しかけづらい”と言われました。話したらそんなことなかったらしいですが(笑)。試合中の表情も“ふてこい(=愛想が悪い)”ので、試合会場で見てくださる方にもそう思われているかもしれませんから、ここで言っておきます。実際はそんなことはありません!

もともと人見知りですぐには打ち解けられないタイプ。一人の時間が大好きで、転戦中の食事も基本ひとり行動。“寂しくないの”って聞かれることがありますが、その方がラクなんです。でも関西に拠点を移したことで、人見知りはだいぶ改善されました(笑)。

見た目や服装から、女子っぽいイメージが強いと思われがちですが、“頭の中は男性っぽい”って言われます。実際に、待つのが苦手で相当な“いらち(=せっかち)”。ステップの練習ラウンドも、最も早い枠の8時スタートしか予約しませんし、プレーのテンポもほかのプロに比べて速いと思います。ただ、イライラしやすい面があるので、そこは直さないといけませんね。

ただ、女性として、見た目の部分はもちろん気にしています。エステティシャンをしている母に“女性なら肌も、髪も、爪も、つねに気をつかいなさい”と言われてきたので、綺麗にしなければいけないものだと思っている。ゴルフをしていなかったら美容系の仕事に就いていたでしょうし、プロゴルファーは“見られる”職業でもありますから。

最後にプロゴルファーとしての将来の目標を聞かせてください。

まだまだやるべきことは多いですが、来年はレギュラーツアーに舞台を移して戦いたい。30歳までにはシードを獲りたいと思っています。実際にプロゴルファーになってみて、自分自身では天職だと思えている。漫然と過ごすことができない仕事で、頑張れば頑張ったぶんだけ稼ぐことができる。すべて自分に跳ね返ってきますが、この生き方は私に向いている。ひとつひとつ自信を積み重ねて、自分を高めていきたいですね。

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