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大岩龍一が語る現在地×未来予想図

5月末に開催された国内男子下部・AbemaTVツアー「太平洋クラブチャレンジトーナメント」。同大会では、大柄だが、まだ表情に幼さが残る青年が観客を大いに沸かせた。

千葉県出身、21歳の大岩龍一(おおいわ・りゅういち)。ツアー経験豊富なベテラン・白佳和と最終日最終組で優勝争いを展開するも、惜しくもプレーオフに敗れ、AbemaTVツアー初参戦・初優勝はならなかった。それでもツアープレーヤー転向後の日本初試合で、現地観戦、そして中継を見ていたゴルフファンに対して“近い将来ツアーで活躍してくれる”と期待させるだけのインパクトは残したはずだ。

2018年QTでサードステージ敗退となったことで、今季はアジア下部ツアーでシーズンイン。厳しいコースコンディションのなかで腕を磨き、国内下部でも上を目指して戦っている。180cm、85kgと世界を目指すうえでも恵まれた体格を誇る大岩がこれまで歩んできた足跡と、将来目指す姿について話を聞いた。

ゴルフを始めたキッカケ、プロを意識した時期を教えてください

父の影響で小学3年生から始めましたが、はじめの1年くらいは何も考えずに楽しくやっていましたね。1年くらい経ったときに“どうせやるならプロを目指そう”と家族で話すようになりました。そんなにすぐには、上手くならなかったですが、楽しいという印象しか残っていません。

特定のプロゴルファーに憧れたり、影響を受けたり、といったことはなかったのですが、クラブを握ってから数年たったときに、石川遼さんがアマチュアで優勝されて“すごい人がいるんだなぁ”と思ったのは記憶に残っています。

中学、高校時代に成長を実感した出来事はありますか?

中学はゴルフ部がなかったので、その頃から、いまでもお世話になっている平川カントリークラブさんで練習をさせてもらっていました。高校は、仲の良かった先輩の薦めで堀越高校へ。当時は、正直いうと、自分的には何も考えていなかったというか(笑)“日本アマに出たい!日本ジュニアに出たい!”という目標をクリアするために、ずっと練習をしていて、嫌だ!と思ったことは一度もなかったですね。

日本ジュニアに初めて出場したのは高校1年の時でしたが、日本アマは高校3年で初出場。その大会で、マッチプレーに進出できて、ベスト16に入れたことは大きな自信になりました。

僕がゴルフに集中できていたのは、両親の協力があったからこそ。感謝しかありません。

日本大学に進学後、2018年10月にプロ転向。「Team DELiGHTWORKS」発足とほぼ同時期ですが、所属選手として戦うことが決まったときの心境は?

Team DELiGHTWORKS(チームディライトワークス)は、支援をいただくのみの一般的な所属契約ではなく、チーム全員がひとりひとり目標を持って、切磋琢磨しながらやっていくチームです。合宿をとおして、相互に学んだりできる環境を用意していただけるスポンサーさんはなかなかいないですし、ほかにはないメリットだと思います。

ツアーデビューしたばかりの自分の立ち位置ですと、試合経験のある“上のレベル”の選手たちと一緒に活動できることは、どんなささいなことも勉強になります。自分にないものをひとつでも吸収して、ものにしていきたいです。日本大学でチーム練習をしていましたし、団体戦にも出場させてもらいましたが、基本的には一人で練習してきたタイプなので、チームで意見を出し合って活動していく機会は、いい刺激になっています。

男子メンバーでは最年少になりますね。

先輩ばかりですからね。僕のほうから、何でも聞きやすい環境です。アマチュア時代にプロツアーに出場したことはありましたが、今年からプロとしてやっていくときに、シード選手やツアー転戦している選手がどういう心境なのか…を想像していましたが、実感としてわかっていない部分がありました。

マネジメントの考え方など気になっていることを、合宿中や普段の会話から聞けるのはすごく新鮮で勉強になっています。

口調や言葉を聞いていると…すごく真面目な性格ですね。

それはよく言われます(笑)ゴルフに対しては真面目かもしれません。“つまらないゴルフ”とイジられることもありますが、そう言われないようにするためにも魅せられるプロでありたい。

小さい頃からいままで“同じゴルファーとして誰かのようになりたい!”と思ったことはなく、自分が信じるスタイルを貫くしかない、と思っています。貫くことができれば十分戦えると信じていますので。

ゴルフ界に限らず、“憧れの人は?”と聞かれたら、どんな人を思い浮かべますか?

ゴルフを始める前、小学2年生までサッカーをやっていたので、憧れのスポーツ選手と言われば、サッカー選手のほうが出てくるかもしれません(笑)なりたいと思っていましたし、いまもめちゃめちゃ好きですから!

父の実家が茨城県だったので、ずっと鹿島アントラーズのファン。スタジアムには何度も観戦にいっています。ファンクラブに入っていて、エスコートキッズ(入場の際に選手と手を繋いで歩いたり、一緒に記念撮影したりする子供)は2~3回はやりました(笑)。

ゴルフの試合は録画をしてまで見ることはないのですが、サッカー日本代表の試合は録画してみることがありますし、Jリーグやワールドカップの結果などはずっとチェックしています。

本を読むのが好きで、指導を受ける谷将貴コーチからも「スポ―ツ選手の本を読んだら?」と言われていたので、イチロー選手、松井秀喜選手、錦織圭選手…などいろいろな本を読みましたが、同じスポーツ選手としてすごいなと思ったのは、本田圭佑選手です。

一流選手はみなそうだと思いますが、幼少期から“15歳で何をしている…20歳で何をしている…”と明確な目標を口にしていて、自分の思ったことは絶対に達成するんだ!という考え方や行動力がすごい。感銘を受けましたね。

身体が大きいですし、サッカーを続けていてもプロを目指せたのでは…?

いやいや(笑)身長は高校時代に10センチくらい伸びましたが、昔は線が細く、球も飛ばなかったんです。

年齢を重ねるにつれ“もっと飛ばすにはどうしたらいいか?”を考えたときに、細身ではダメだ!と感じて、食事量やトレーニングを意識的に頑張って、ゴルフのために体を作ってきましたから。それに足が遅かったので(笑)

ほかのスポーツと比べて、ゴルフというスポーツの魅力は?

プロとして戦う選手、アマチュアとして楽しむ方、ツアー観戦をされる方、それぞれのニュアンスは異なると思いますが、ゴルフという競技は、1日5~6時間かけて、コースマネジメントを考えながら、メンタルを整えながら、プレーしなければいけません。ショットも1種類だけじゃない。飛距離を出さないといけないドライバー、グリーンを狙うアイアン、寄せなきゃいけないアプローチ、入れなきゃいけないパッティング…長い時間をかけてさまざまなことを一人でやらないといけません。

トーナメントの場合は4日間あって、いろいろな状況を乗り越えて強い気持ちを持たないといけません。でも、僕はそれが楽しいんです。当然、追い込まれる場面もありますが、“自分はいまこの状況をどうやって乗り越えるんだろう?”と考えたり、取り組んできたことを実践していくことが、ゴルフの魅力だと思っています。

ゴルフはミスを積み重ねないといけないスポーツ。ミスショットなのに結果的に上手くいくこともありますが、1日を通してずっと良いプレーをできることは少ない。4日間耐えて優勝できた瞬間は本当に嬉しいものになるのではないでしょうか。

最後に、今後の展望と将来の目標を教えてください

応援してくださる方に、ゴルフの楽しさを知っていただいて、感動してもらえるような選手になりたいです。

今年はアジアの試合にも出場してきていますが、正直過酷なことも多い。でも自分にとっては、逆に良い経験になると捉えることができています。海外の選手にとって、日本のコースは整備されすぎていて、簡単に感じられるのではないか、と。パターが苦手な僕は、ガサガサのグリーンで、はじめはまったく入らなかった。でも徐々に慣れてきて、日本に帰ってきたときにはラクに感じられるようになりました。さまざまな環境を体験することで成長できると思いますし、今後に活きてくるはずです。

近い将来でいえば、来年にツアーシードを獲ること。そしてその先は、世界で戦えるプレーヤーになることです。飛距離も出るほうですし、ショットを進化させていければ、海外で戦える選手になれると信じています。

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