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池村寛世が語る現在地×未来予想図

「Team DELiGHTWORKS」のなかで唯一のシードプロ。発足したばかりのチームにおいて、牽引者としての活躍が期待されるのが、鹿児島県出身の池村寛世(いけむら・ともよ)だ。

実家はサツマイモ農家で4人兄弟の長男。幼い頃から家業の手伝いをしてきたことで、苗植えから収穫まで一連の作業は身についている。プロ転向後も、手伝いを続けながら、着実なステップアップで道を切り開き、20歳の誕生日と重なった2015年『RIZAP KBCオーガスタ』最終日には、池田勇太、深堀圭一郎と最終組でプレーし、自身の存在をファンに認知させると、2017年には初シードを獲得。2018年も賞金ランク39位に入るなど、男子ゴルフ界で活躍が期待される若手のひとりとなっている。

166cmながらガッチリとした体躯で、ビッグドライブが武器。男子ツアーを支えていくプロゴルファーを目指す池村がこれまで歩んできた足跡と、将来の理想像について話を聞いた。

ゴルフを始めたキッカケとプロを志した時期を教えてください

仕事の関係でゴルフを始めた父がハマったらしく、いずれ一緒にプレーするために、小学校5年のはじめくらいに近くの練習場へ連れていってもらったのがキッカケです。そのときは父も自分も、“将来はプロゴルファーに!”とは考えていなかったですね。

中学時代は大会などに出場していて、ゴルフをやりこんでいたのですが、通っていた伸紘ゴルフセンターで練習していたら、シード選手だった津曲泰弦さんが来ていた。宮崎出身の泰弦さんはオフにはいつも帰ってきていて、僕も鹿児島と宮崎の県境に住んでいたので、お会いしたのをキッカケに練習場にあるミニコースを一緒に回らせてもらったり、休みの日はラウンドにご一緒させてもらったりしていました。

フェニックスCCへプロツアーを観にいったことがありましたが、シードプロの打つ球を間近で見たことがなかったので、“すごいな~!”っていうのが第一印象で…泰弦さんは飛距離が出る選手で、“こういう球を打たなきゃいけないのか、これがシード選手なんだ”と感じさせてもらったことで、プロを目指したいという気持ちが出てきましたね。

高校入学後から本格的にプロ入りを目指すまでの経緯は?

鹿児島の尚志館高校に入って1年半くらい経ったとき、休みの日に普段の定位置の一番右端の打席で練習していたら、真ん中のほうに外国の方が練習していた。あまりないことなので、珍しさもあってみていたら、練習場の常連の方が「プロキャディをやっている人だよ」と教えてくれた。オーストラリアの方でしたが、プロを目指す上でオーストラリアには良い環境があることを聞いて、行きたい欲が高まって…コーチやホームステイ先を紹介していただき、半年間の留学をしました。

休学という形をとり、高校3年に上がる前の3月に帰ってきましたが、“本気でプロとしてやっていくなら学歴は関係ないよな”と思って…父も同じ考えだったので、高校を辞めて、QTとプロテストを目指すことにしました。

その当時はプロゴルファーとして活動していくうえで、どういう未来を想像していましたか?

プロの試合に出場したことがなかったので、ツアーがどれだけ難しいか、という感覚がまったくなかったんです。QT受験初年度も、“落ちたら来年は白紙になる”とかも思わないまま挑戦していって、将来に対する怖さもなかった。いま思えば、そういう考え方が良かったのか、翌年にはファイナルQTにいって、チャレンジツアーに出場できるようになりました。

試合がない週は、実家の手伝いをしながら…というスケジュールでやっていましたが、2015年に『九州サーキット(※九州エリアで開催されるオープン競技など)』のうちの1試合で優勝して、100万円近くを手にしたとき、「その資金を元手に自分だけでやってみて、活動資金が尽きたら家の手伝いをしながら試合にいきなさい」と言われたので、その試合のあとからは、自分で稼いでやりくりして転戦できているという感覚ですね。その年はチャレンジでも2勝を挙げることができました。

毎年、ツアー経験を重ねていくなかで自身の成長をどう捉えていますか?

徐々にレベルアップできていると感じています。実際に、2014年はQTからチャレンジを戦ってダメでしたが、翌年はチャレンジで勝つことができて、裏シード(※チャレンジ賞金ランクによる翌年のツアー出場権)を獲ることができました。2016年はツアー前半戦で活躍できず、QT組になりましたが、上位に入って、2017年は一年間戦ってシード権を獲得できた。これまで“落ちていった”経験はなく、段階的に上のステージにいけていると思います。

ただ2015年にチャレンジで2勝して、その権利で出場した同年のツアーでも予選落ちがなく、そのときは“ツアー前半戦の出場権をもっていれば、シードは獲れるな”と思っていました。実際に翌年の前半戦に出てみて、全然成績が出せずに、残り2~3試合でフォールシャッフル(※優先出場権の見直し)にもかからない…もう届かないなという状況で“ツアーは難しいな”と感じたことがありました。

そんなとき、平本穏さんと食事に行く機会があって、「前半戦がダメでも、お前の球ならQTから絶対上がっていけるから。例えば、PGAツアーの実力者が仮にQTにいっても、絶対に上がってくるでしょ?実力のある選手ならどんな形でも上に戻ってくる。若いんだし、大丈夫だよ」と言ってもらって…自分のことを評価していただいたことで、気持ちがラクになりましたし、焦る時期ではないんだなと。そういう考え方と言葉が、いまも心に残っています。

周りの方にそうやって声をかけてもらえるのは嬉しいですし、“間違ってなかったんだな。自分がやりたいプレーをやっていいんだな”と思うことができる。大堀裕次郎さんには一緒に回ったときに、「なんでお前の球で優勝できないんだよ」と…嬉しいですし、自信がつきますよね。少し前までは同伴競技者のプロをみて、上手いな~という気持ちが先行していましたし、“ツアー優勝ってどんな感じなんだろうなぁ”くらいの感覚でしたが、いまは勝ちたい意欲が強くなっています。

2018年の『ブリヂストンオープン』で宮本勝昌さんと同組だったときに、「いまの若手は一辺倒で攻める選手が多いのに、いろんなことを試合で試しながらでやることってすごく大事だから、やっていったほうがいいよ」といっていただいたときは、もっといろいろやらなきゃいけないな、と感じました。

飛距離はストロングポイントだと思いますが、その要因を分析すると?

小学校低学年から、家のことで出来る仕事は手伝っていました。そのおかげで効率よく体を動かすコツが身についたんじゃないかなぁ。出荷するときに車に荷物を積む手伝いとかしていて…300箱くらいあるんですけど、父が荷台に乗って、僕が渡したりするときに、小さい体で5kgの箱を2つ持ったりしないといけない。体重移動というか“どういう風に力を使えばラクに運べるか”を自然に考えていたと思います。

ゴルフを始める前まで、水泳とサッカーをやっていて、サッカーの試合では、スローインとかフリーキックとか、小学生としては飛んでいた。蹴る力も投げる力も周りに比べて強かったですし、小学4年のときにいった陸上記録会のソフトボール投げでは55メートルを投げて、鹿児島県で6位だった。そう考えると、飛ばしのコツは小さい頃から持っていますね(笑)。

自分の性格的な長所はどこだと思いますか?

あまり考えこまないこと。みんなミスはするから!という考えで、あまり自分を追い込まないので。“オレは一生イップスにはかかんないだろうな”って感じです(笑)ダメな日は“こういう日もあるだろう”と。やることさえやって、ミスするときは仕方ない。人間だからミスはするものだろうって。

ファンに対して、どういうプレーを見せていきたいと思っている?

飛距離が出るぶん、ロングホールはしっかりと狙っていけるように。ティショットが自分のなかで最も自信があるので、そこが強みであるという気持ちは変えずにこれからもやっていきたいなと思っています。

プレースタイルでいうと、守るゴルフが苦手で、ガンガン攻めていって、上手くいったときはビッグスコアが出るし、ダメなときは仕方がないという感じが自分に合っていると思っています。

ただ、飛ばし屋といってもらえるんですけど、今年の「Team DELiGHTWORKS」のオーストラリア合宿で諸藤将次さん、幡地隆寛さん、あと留学中だった僕より年下の假谷直輝と4人でラウンドしたときに、3人とも自分より20ヤードくらい前にいた。“俺って飛ばし屋じゃないんだなぁ。今年(ドライビング)ディスタンス狙うのをやめよう”って思いましたよ。自信なくなったので、曲がらないキャラでやっていこうかな(笑)

今年になって、一番意識的に磨いているのは、グリーン周りのショートゲーム。技術が全然足りていない。アプローチが苦手なので、今後も重点的にやらないといけないと感じていますね。

「Team DELiGHTWORKS」のなかでは特に活躍を期待される立場。チームの存在をどのように広めていきたいですか?

いまは僕がシード選手という立場でツアーを戦っていますが、「Team DELiGHTWORKS」の同じメンバーである和田章太郎は、同い年で同じ九州。小学5年生の頃から知っていて、九州の試合で会ったり、全国大会のときは一緒に行って練習ラウンドをしていた仲なので、章太郎がチャレンジからツアーに上がってきたりしていて嬉しいですよね。

自分のなかでは合宿の機会などで、周りに対してアドバイスできるところは積極的にしたいと思っています。みんなでツアーの舞台に上がっていけるよう、「Team DELiGHTWORKS」のチーム力をあげていきたい気持ちがむちゃくちゃありますよ!

最後に、ひとりのプロゴルファーとして、どういう存在になっていきたいですか?

ゴルフを始めるキッカケに…自分のプレーを見て「プロになりたい!」と思ってもらえるような選手になりたいですね。

いまずっと心がけているのは、ファンを増やしたいということです。なるべくファンサービスをしていきたいですし、インスタグラムの投稿などで、自分の性格を知ってもらいたい。ラウンド中に小さい子がいたら、積極的に声をかけて、ボールを渡したりするようにしています。

土日の試合会場は、けっこう子供たちが来ていたりして、あるときボールを渡したあと、インスタグラムに親御さんから「息子がボールをもらって喜んで、宝物にするって言っています!」というメッセージを貰いました。そのとき自分もすごく嬉しさを感じたので、それから特にファンサービスについて考えるようになりました。

そういう思いの積み重ねが、男子ツアーの盛り上がりにつながるはず。「Team DELiGHTWORKS」としても人気を獲得したいですし、活動するうえで大切なことですから。

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