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臼井麗香が語る 現在地×未来予想図

続々と新たなスターが誕生する昨今の国内女子ゴルフツアー。20代前半の若手の躍動は、世代交代を加速させているが、その中心にいるのは1998年~1999年生まれの“黄金世代”。

瞬く間に米国ツアーの中心選手になった畑岡奈紗はすでに別格だが、国内を見渡しても勝みなみ、新垣比菜、大里桃子、河本結、渋野日向子、原英莉花がツアー優勝を達成済で、小祝さくら、吉本ひかるは“初優勝に最も近い若手”としてツアーファンに認知されている。

一方、臼井麗香は、先にあげた選手たちを追いかける立場だが、抜群のショット力、華やかなルックス、そしてプロゴルファーとして戦う上での気構えといった彼女ならではの個性は、黄金世代のなかでも異彩を放っている。

2019年シーズンの自身開幕戦の「アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI」では、第90期生同期の河本結、脇元華と最終日最終組でラウンドし、優勝争いを展開。一気に注目度を高めた“れいちぇる(『麗』にちなんだ臼井の愛称)”が、これまで歩んできた足跡と将来目指す姿について話を聞いた。

ゴルフを始めたキッカケと時期を教えてください

祖父の薦めで9歳からゴルフを始めましたが、正直をいうとあまりいい思い出はないんです。小学校が終わると、校門の前に祖父が迎えにきて、コース、練習場、自宅で練習。同級生と遊ぶ時間は作れなかったですし、3歳から通っていたダンスアカデミーも11歳で辞めなければならなかった…それが一番つらかったですね。

ダンスアカデミーではどのようなことを習っていました?

元タカラジェンヌの先生から、宝塚でやるようないろいろなレッスンを受けていました。ジャズダンス、タップダンス…クラシックバレエのクラスにも入りましたね。ボイスレッスンもやって、セリフを覚えてのミュージカル調のレッスンもあった。5歳になる頃には発表会にも出ていましたし、その頃はとにかく楽しかった思い出しかないです。 “早くレッスン日の月曜にならないかな”って思っていましたね。幼いながらに、一番目立つセンターで踊りたい!主役をやりたい!踊る私だけを見て!って…いまでもその気持ちを持っているので、生まれたときからそういう気質だったのかもしれませんね(笑)

泣く泣くダンスアカデミーを辞めて、ゴルフ1本に絞ったときの心境は?

“明日にはもうやめる!”と毎日思いつづけていました。ステージで踊る機会もない。練習はつらいし、嫌だった。でも…“やるからにはプロになる!”ということは決めていたので“周りには負けたくない、私が絶対に勝つ!”という思いだけで我慢していました。

中学入学後は世界ジュニアゴルフ選手権出場、県知事盃最年少優勝など成績を残していますが、心境は変わりましたか?

プロになるために続けている…プロにならないなら明日にも辞める…という感覚は同じでした。中学時代も“誰にも負けない!”という気持ちを強くもって、実際にはそうではないですけど“自分が一番上手い”と思っていましたね。でも高校時代からは“練習を休んじゃいけない” “成績を出せないといけない”という考え方に苦しんでいました。寝るとき以外は、ゴルフのことを考えるのが大前提だったので。

プロテスト初年度は涙を呑みましたが、2年目では見事合格。高校卒業後、自分が変わっていく出来事はありましたか?

初年度は、周囲からの期待もありましたし、自分自身を追い込みすぎていました。プレッシャーで、体重が7キロほど落ちてしまいましたから。

結果的には合格できませんでしたが、高校を卒業してからは、自主的に練習を考えるようにしたり、自分でコーチを探してお願いしたり…徐々に自立心が生まれてきた。“今後のためにいま取り組めることをしっかりと考えていこう”と思えたのは、自分自身が変わってきた時期だったのかもしれません。

2018年のプロテストでは、合格の実感がまったくなかった(笑)あれだけ苦しい思いをしたのに、最終日に余裕を持って通ることができた現実とのギャップがありすぎて…受かるときは、もっと苦しく、厳しい展開を想像していたので。

ただ、合格をしたことは嬉しいですが、同世代はすでにツアーの舞台で活躍しています。(勝)みなみとか普段から仲が良い選手が多いので余計に意識しますよね。私はやっとスタートラインに立っただけ。いまも、つねに焦っています。

ルーキーイヤーの2019年、開幕前のオフにはどのような取り組みをしましたか?

毎年、冬の時期にスイング改造を行っていますが、今年のオフは、体調を崩した時期もあって、なかなか練習時間が確保できないなか、試合に間に合うかどうか心配になるくらい、すごく大胆に変えたんです。フラットなスイングから(ダウンスイングで)クラブを立てて、入射角を鋭角的に、ハンドファーストで打っていくようにしたことで球質が変わりましたね。

大胆なスイング改造を目指した理由は…?

私は毎年スイングを進化させたいと思っているんです。シーズン中も試合期間中以外は、毎週毎週、進化のための取り組みをしている。いま目指すところに到達できたとしても、海外では新しい理論がどんどん出てきますし、今年で21歳になりますが、25歳になったときでも、20代後半になったときでも、ずっとずっと進化していかないといけない。“これでOK”がないからこそ、毎日迷っていますね(笑)

もちろんトレーニングも同じです。いまは日本ウェルネス大のトレーニングに参加させてもらっていますが、周りの男性と同じようにこなすとかなりつらい。でも先のことを考えると、次の日の筋肉痛も快感(笑)。昨年より体重も7キロほど増えてきています。

「アクサレディス in MIYAZAKI」ではいきなりの優勝争い…ツアーで戦える手ごたえは?

アクサレディスでは、最終日最終組でプレーできたことは良かったですが、逆に課題が見えた試合でもありました。試合前は4打差あって、バーディを獲らないと勝てない状況でしたが、徹底しきれなかった。気持ちを切り替えないといけないときにできなかった悔しさが残りましたね。

スポットライトを浴びる最終日最終組で戦って“主役は絶対に私”という小さい頃の気持ちを思い出しましたか?

最終組でプレーするからには“絶対に勝つ!”という気持ちを持っていないと、見てくれている方々に対して申し訳ない。“私の舞台にしたい!”と思っていました。

試合前の朝、ルーティンとして音楽を聴きますが、そのときに、主役の自分がステージの中心で踊っているシーンをイメージすることで気持ちを高めています。すごい強くなれる気がするんです。

ステージで踊ることも、プロゴルファーとして試合会場でプレーすることも、多くの観客の方に見られながらやるのは同じ。緊張するよりも“センターで踊りたい”と思えるくらいのほうがいいですから。

誤解されがちですが、普段の友人付き合いではこういう一面は出ませんよ。あくまで勝負事だけです(笑)

最後にゴルファーとしての目標、将来設計を教えてください

まずは2年以内にシード権獲得。ゴルフは28歳までと決めているので、それまでに賞金女王になりたい。その次は、また一番を目指して頑張っていける世界に活動の場を移したいと思っています。

やりたいことがいっぱいありすぎちゃって(笑)例えば…?ん~、アクション女優とか!海外の作品で、メインキャストではないけれど“この日本人は使いたい、欠かせない”と思われるような存在に憧れます。“勝ち抜く”とか“オーディション”とか、そういうのが好きなんですかね。なんでこういう性格なんだろう…わざわざ寿命を削っているような気もしますね(笑)

ダンスの業界も経験したいけど、どんな業界でもすごく厳しいのはわかっている。でも一生、自分で稼いていける強い女性でいたいです。

あくまでこれはまだまだ先の話で、いまはプロゴルファーとしてNO.1を目指します。そのためには“結婚したい”というような願望は邪魔な要素だと思うし、ゴルフの目標だけに集中していく。もっと上手くなりたい!と考えるなかで、『Team DELiGHTWORKS』はツアーで戦っている男子プロの影響を受けられる環境がすばらしいですし、いいことばかりです。

もっともっと応援してもらえる選手になりたいですし、声援をいただけるほど頑張れる。ファンサービスもしっかりとやりたいので“神対応”っていただけることもありますが、それは嬉しいですね。ただ試合中は“負けず嫌い”が前面に出すぎて集中していると、なかなか笑顔が出ないときもあるので、そこは許して欲しいかな(笑)

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