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身体特徴&技術課題を徹底分析!パフォーマンスを引き出すための試み

2019年シーズン前のオフからはじまった「Team DELiGHTWORKS」の定期合宿。チームメンバー全体のレベルアップを目標に掲げ、ザ・ロイヤルゴルフクラブ(茨城県)を拠点に月一回の頻度で活動してきたが、7月合宿では各メンバーの身体特性&技術課題を洗い出す試みがおこなわれた。

特定のコーチを置かず、選手が相互にアドバイスを送り合い、切磋琢磨していくスタイルをとる「Team DELiGHTWORKS」。これまでのラウンド中心の3日間合宿では、スタッツデータを管理し、“それぞれが決めた課題に取り組めたか?” をテーマに議論を交わしてきたが、自らが課題設定をするため、 “いま本当に必要なスキルは何か…?” を知ることは難しい状況だったともいえる。

そこで、7月合宿の初日には、フィジカルスクリーニングとスキルテストを実施。池村寛世、和田章太郎、大岩龍一、光吉佑樹、山名英統、小出遼、山田弦也、高橋紀乃、辻岡愛理、佐久間夏美、そしてゲストメンバー5名が参加し、一日をかけて計測がおこなわれた。

フィジカルスクリーニングでは、最先端のスポーツ医科学に基づくトレーニングを提供する「Best Performance Laboratory」から桂良太郎氏を招聘し、関節の可動性、安定性、柔軟性などをチェック。また身体の筋肉部位が使えているかどうか…といった多岐にわたる項目のテストを行い、身体特性を分析した。

オフシーズンは一年間戦える体作りに取り組み、飛距離アップや安定性向上のための土台強化が必須。シーズン中もパフォーマンスを下げないためのメンテナンスが必要であり、年間を通じてフィジカルトレーニング計画を立てなければならないのがプロゴルファーという職業。

そのうえで、例えば、自分が“関節がゆるいタイプなのか?それともしっかりしているタイプなのか?”を把握しているか否かで、メンテナンスのアプローチは変わってくる。関節がゆるいタイプは“動きすぎ”を予防するトレーニングが必要であり、関節部が強いタイプは筋肉系の問題に注意を払うことが大事。

また肉体改造に取り組む場合も、まず身体のなかで最も大きな筋肉のひとつ・臀部(お尻)が上手く使えているかいないか、で生み出せるパワーも大きく変わってくる。そして、そもそも自分自身を上手く操縦できているのかどうか。技術面のミスだと思っていたことは、実はフィジカル面の弱さに問題があるのかもしれない…。自分の身体特徴を解剖しておくことは、自己管理面で非常に大きな意味を持つだろう。

スキルテストでは、ドライバーショット、アイアンショット、アプローチなどのショット計測をおこなった。特にアプローチテストではさまざまな距離やライからアプローチショットを行うことにより、選手によっては得意不得意がはっきりとみてとれた。チームメンバーの“問診票”を共有できていれば、相互のアドバイスもこれまで以上に意味を持つはずだ。

練習後には、桂良太郎氏によるトレーニング理論やリカバリーの基礎知識、栄養学を受講。内容は、ラウンド前の朝の食事や、ラウンド中の栄養補給の大切さ、疲労の種類で効率的に回復できるメニューが異なる…など。一例をあげると、高い集中力が求められるゴルフでは、血糖値が高い状態をキープすることが大事。グリコ―ゲン(糖)とアミノ酸を一緒にとっていくと集中力が維持されやすい…などといった、心がけることでパフォーマンスを高められる対策に、みな集中して聞き入っていた。

今回の合宿に参加した選手のなかで、最もツアー経験が豊富なシードプロの池村に話を聞くと、「自分はTrackMan(トラックマン=弾道測定器)を持っていて、60ヤードから10ヤード刻みでキャリーを計測する“コンバインテスト”というものがあるのですが、曲がり幅なども含めて点数を計測することができます。その平均点でショットの状態を確認したり、平均点が上がっていれば、自分のショットレベルが高まったことになる。それを繰り返していくことで、強みを作っていけるはずですから、自分に関することは知っておいたほうがいいですよね」と、データ管理が成長につながるという実感は持っていたが、「栄養学などについてはあまり考えてこなかったタイプ。これからは食事のルーティンを気にしていかないといけないな、と。体調管理だけでなく、集中力の高め方にもつながることがわかったので“意識すればめちゃめちゃ変わっていく!”と思えましたね」と、新しく得た方法論を実践していきたいと語っていた。

またチーム最年少の佐久間は、「選手にとってトータルで必要なことを教わることができて、いままでの活動のなかでも一番“合宿的”でした。細かくテストすることで、いまの自分のスキルを知ることができる。私はフェアウェイウッドが得意だと思っていましたが、計測してみると、アイアンのほうがコントロールできていた。これまで苦手だと思っていたことを、実際に数字で見てきたわけではなかったですし、得意不得意をはっきりさせられる。自分のことがわかってくれば、練習方法が変わりますから、すごく良かったですね」と、感覚だけで“思い込んでいた”強み・弱みをデータ分析で明確にすることで、より効率的なレベルアップを図れる実感を持てたようだ。

 

現時点の自分自身の伸びしろ、課題は知ることができた。チーム全体のレベルアップを図るためには、個々がそのデータを持って、日々の練習をどれだけ積み重ねていけるかにかかっている。

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