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「看板を背負うからには“日本一のチーム”として認められたい」 そのための第一歩をいま…


幡地隆寛(左)、光吉佑樹(中央左)、髙橋紀乃(中央右)、佐久間夏美(右)の座談会を敢行

日本から世界へ挑戦するアスリートを支援する活動『Athlete Support Program』の第一弾として「スポーツを、もっと面白く。」というコンセプトのもと発足されたプロゴルフチーム「Team DELiGHTWORKS」。

現在男子選手9名、女子選手6名が所属しているが、ツアー参戦メンバーを除いて、定期的な月例国内合宿(ザ・ロイヤルゴルフクラブ)をおこなっており、男女ミックスの練習ラウンドを通じて、さまざまな意見交換がはじまっている。

選手たちを束ねるコーチはおらず、ミーティング形式や練習方法の相談などは、チームメンバーの自主的が問われる形式だが、3月末に開催された合宿では、光吉佑樹が幹事を務め、宿泊先の手配、そしてミーティングで議長役を担ってメンバーの意見を引き出すなど、まだまだ手探りながら、チームとして進むべき道を皆で歩み始めた。

それまで歩んできた道が異なる男女メンバーが混合チームとして活動するメリット、そしてチームの方向性について、光吉佑樹、幡地隆寛、髙橋紀乃、佐久間夏美の4名に集まってもらい、意見を聞くとともに、ミーティングの様子を聞いた。

合宿中は、全員が意見交換をするミーティングがありますが、良い部分をどう捉えてます?

光吉:「いまのやり方としては、まずは自分自身で課題を設定して練習ラウンドに挑む。ミーティングでは“ 課題をクリアできたか” を一人ひとりに話してもらっています。その結果に対して、一緒にラウンドで回った選手からの意見を聞いて、みんなで打開策を検討していくスタイルですね。自分が納得していたことも、一緒に回っていた選手から見れば違う印象にうつることもありますし、そもそも自分が設定した課題が正解だったのか…?など、本人だけではわからない部分をチームで解決していけるのが大事なところかなと思っています」

幡地:「思うようにいかない部分を自分のなかにとどめておくだけではなく、みんなの前で口にすることが大事ですよね。些細なことで忘れてしまうことも、周りから“ 大事なことだよ” って指摘できますし、チームでそれぞれの選手の課題を共有できますから」

髙橋:「そう、やっぱり口に出すことは大事だと思います」

佐久間:「私の場合は、自分の思っていたことと、周りの人が感じていることが同じでない場合も多いので、そのギャップを把握できるのはありがたいです」

男女ミックスでは、男子選手⇒女子選手へのアドバイスが必然的に多くなる。女子メンバーは男子とプレーすることのメリットを、男子メンバーは女子と回ることで得られることは?

髙橋:「男子選手のほうがよりマニアックに考えているのは事実で“そんなことまで考えているんだ!?”って驚かされます。単純にすごいなぁって。女子選手が男子プロの思考力を持つ必然性は全員に当てはまるわけではないとは思います。あまり考えないほうがいい選手もいるし、男子みたいに考えるほうが合っている選手もいる。ただ“ゴルフって奥が深いな~”って感じさせてもらえるのはすごくありがたい。私自身、ずっと女子選手とだけしか行動してこなかったですし、実際こうやってチームとして活動しても女子と男子は全然違う。だからいまはすごく新鮮ですね」

光吉:「細かさやマニアックさは男子選手のほうがあるよね」

高橋:「すごく考えていると思う」

光吉:「男子はどうしてもずっと考えるタイプが多い。でも逆に女子選手の考えを聞いて、一緒に回ったりして、おおまかに考えたほうがいいケースもあるな、という部分もある。突き詰めすぎない部分が時にはいい場合もあるから」

幡地:「割合的にはそうですね。男女を比べれば技術の違いがありますから。でもやっぱりツアー優勝経験のある女子選手と話す機会があると、その選手たちは、考えているな~と思わされるときがある。男子の考えを混ぜながら、女子選手たちのなかでもレベルの高い思考を作っている選手もいるので、そういう部分でチームのなかで感覚を作っていければと思っています」

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幡地の言葉どおり、実際にミーティングを見ていると、女子メンバーの意見に対し、男子メンバーが意識を高めてもらうため“言うべきことはしっかりと伝える”という場面が多い。ゲスト参加していたアマチュアの桑山紗月が「昨日はショットが良かったのに、今日は全然ダメダメでした…」と発言すると、同伴競技者だった幡地は…

「変に曲がっているというシーンもなかったし、今日もショットはよかったはず。ナイスショットが悪い結果に繋がっていただけだと思う。いいところに打ったはず…ではダメで、“逃げ道”を作ったうえで打っていくべきだと思う。“ピン方向でいったのに、グリーンの縦幅が狭くて奥目にいってしまった~”とかは、状況を想定した警戒ができていないということ。だから“ショットが悪い”という意識を持つ必要はなくて、意識すべきところが違うんじゃないかな?」

とアドバイス。

また合宿前にギックリ腰を発症し、おっかなびっくりでラウンドした高橋は「腰の状態にしては振れていた。けど、コースレイアウトを把握してきれていなかった部分があって、ナイスショットだと思った球が池に入ったりしてしまって…。あとはパッティング。フックラインは良かったけど、スライスラインは芯で打ててなかった。つかまえきれてなかったなぁ」と発言。同組だった光吉が「スライスラインはなんでつかまってなかった?」と疑問を投げかけると…

「言うのが恥ずかしいんですけど…。腰が気になったこともあって、寒いときに上着を脱がなかったことで、フォローでしっかりとヘッドがでていなかった。脱いでいるときはちゃんと打てていたから、横着なことをしてしまったなって…試合を想定しないといけないのに」と反省の弁。

それに対して光吉は「試合中は“着たままでいいや”でプレーしないじゃない?練習でも一回一回やるようにしないと。(気候や体調を考慮してうえで)上着を脱いだときの体温管理を考えた服装選びもゴルフのマネジメントのひとつだからね」

と諭す言葉を投げかけていた。

ゲストメンバーも含め、練習ラウンド後には各自の課題解決の為のミーティングが行われる。和気あいあいな雰囲気だが、しっかりと言うべきことは言うチーム感が育まれつつある

もちろん男子プロも“先生役”に回るだけではなく、それぞれの悩みに対して、意見交換を行っていた。

光吉のテーマは「マネジメント、クラブ選択のジャッジを意識的に。特にロングホール。2打目ではグリーン上の乗せる位置を計算しながらできるかだったけど、それなりにいい位置につけられた。けどアプローチ、パターは課題が多い」。

これに対し、同伴の女子メンバーは「光吉さんのラフからのロブショットはすごいな~って。職人みたい」と絶賛すると、山名英統が会話に加わる。

「光吉さんは難しいライからのアプローチは得意だよね、でも簡単なところでミスをする(山名)」

「普通のライになると思いきって打てないんだ。悪いライのほうがやることが決まっているから思いきっていける。幡地にも言われたけど、難しくないライで、いろいろと選択肢を考えてしまってしまう傾向がある。一番苦手なのは、上りの10メートルくらいのアプローチだから。それだったら、難しいライのほうが簡単に感じてしまう(光吉)」

「コロがしも含めて、何でもできる状況ですからね(山名)」

「できることが多すぎるほうが悩むよ(光吉)」

「(池村)寛世にアプローチのアドバイスを受けていませんでした?(山名)」

「寛世に言われたのは、50~60ヤードのアプローチの状況。“球を上げずにもうちょっとラインを出して寄せていいんじゃないですか?”って。それは慣れてきたけど、距離が近くなると“低くいくか…いやいや球を浮かせて綺麗に寄せたい”って気持ちがでてきちゃうときがあるんだ」

互いのクセや思考を知っておくことで、継続的にチェックし合える関係は徐々にできつつある。ツアー会場で仲の良いプロ同士が何気ない技術論のなかからヒントを見つけることはままあるが、年間開催される定期合宿を通して聞ける“忌憚のない意見”は貴重なものさしとなるに違いない。

一方、ツアー経験が浅い女子メンバーは、男子が技術論を語り合う場面で持論を挟むことがなかなかできないのが現状。技術の引き出しが少ない立場では“一見簡単なライでも選択肢がありすぎると思いきって打てない”という男子ならでは悩みは、本質的な理解が難しい。ただ実体験では得られない悩みを聞くだけでも女子メンバーにとっては貴重なサンプルとなるはず。

そんな期待を込めて、4人に意気込みを聞いた。

同じ所属先の仲間として男女が活動するのは珍しい…今後の活動していくうえで楽しみな部分は?

幡地:「僕はプロになってから一人で練習してきたので、振り返れば刺激のない練習が続いていた部分がありました。刺激があるのは試合だけって感じで…。でもこうやってチームとして合宿に参加させてもらうことで、たとえば女子選手と回ると、飛距離は全然違うのでホールごとの組み立てはまったく異なりますが、アドバイスを送る立場が多くなっても、会話をするなかで、逆に僕が盗める部分は絶対あると思う。実際、自分なかでのテーマや練習内容もどんどん変わってきていますから」

これまでより刺激的な練習ができていることに充実感を感じているという幡地

光吉:「僕も基本は一人で練習してきたタイプ。地元の先輩プロたちと一緒に練習することもありましたが、どうしても徐々に刺激はなくなってくるもの。もちろん教えていただくことは多かったですが、個人スポーツのゴルフって、“チーム”として捉えて行動できる機会はなかなかないじゃないですか。プロになってからは“団体”という概念が珍しい。いろいろな意見がもらえて、自分のなかで選択できる幅が広がって、練習の仕方も変わった。チーム内で積極的に連絡をとりあって自分に対してプラスの情報がたくさんもらえている。“みんなで頑張ろう!”って団結していくなかで“もっと上を目指したい”という自分のなかの思いに気づかせてもらえる仲間ができたことが一番幸せだと感じていますね」

団結することで、より個人個人のモチベーションが高まると考える光吉

高橋:「男子プロと頻繁にプレーする機会は“普通”ではないですから。自分よりレベルの高いゴルフをつねに見ていられる。女子メンバーも、プロテストに受験する選手、ツアーで戦う選手、とそれぞれで目標は違いますが、いい刺激にもなります。あと調子のいい選手やノっている選手が纏っている雰囲気を見ることができるのも大きい。(池村さんみたいな)シード選手もいますから。技術だけではなく、勢いというか…メンタルの充実って周囲に伝わるじゃないですか。“こういう風にメンタル面で強くならないと戦えないのかな”とか。逆に、調子の悪い選手を傍から見ると“自分も気持ちが落ちているときにこうなっているのか…”とかわかる。同じチームメンバーとして客観的に周りを見て、自分が声をかけることでどう変わるか、とか、いろいろと勉強になる。チームとして戦える機会を頂けて本当にありがたいですね」

再びツアープロとしての夢を追う髙橋にとって、今の環境はすべてが刺激的だという

佐久間:「私は高校が女子ゴルフ部だったので、ゴルフ場でも一緒なのはつねに女子。それが…しかもツアーで戦っているような男子選手たちと一緒にプレーできるのはすごく勉強になるし、同級生とは違う、さまざまな経験をしてきた方と活動できるのは自分の成長にとってもすごくありがたいことです」

先輩たちから様々なことを吸収できる環境に感謝しつつ練習に励む、チーム最年少の佐久間

最後に4人を代表して幹事の光吉プロ…『Team DELiGHTWORKS』の未来について一言

光吉:「そうですね、チームとしてまだ始まったばかりなので、上手くいかないところや試行錯誤することもたくさんありますが、みんなで話していて思うことは、男子は男子、女子は女子で、チーム内で優勝争いができたらすごく面白い。お互いが切磋琢磨し合える、助け合える存在でありたい。今後は、『Team DELiGHTWORKS』のようなゴルフチームがほかにもでてくると思うんです。我々も看板を背負うからには、日本一のチームを目指さなければいけないですね!」

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